インターネットが普及して、他人の書いた文章を読む機会がぐっと増えた。
他人と言っても文章を書くことを生業としている人々の文章のことではない。我々のような一般人の文章である。メール然り、ウェブサイト然り。
パソコン、メールが普及して筆離れが起きる等と言ったのはどこの誰だ。文章を書く人口は爆発的に増えているのではないか。
今まで、手紙でさえもらったことのない知人から突然メールをもらったり、親しくしていた人のウェブサイトを見て、初めてその人の文章を読んだりするケースが多くなっている。
最初は、「一億総ファンジンメーカー」などと云ってホームページブームを自嘲気味に笑っていたが、ことはそういうレベルではなくなってきている。文章を書くということが、そのレベルはどうあれ、「日常」になりつつある、ということだ。
かくいう僕も、文章を書くこと自体は好きな方であったが、便箋に字を書いて、封筒に入れて、切手を貼ってポストに入れるという行為自体が億劫で、どちらかといえば筆不精な方であった。
しかし、いまや何の苦もなく、メールを毎日送信している。(その割にHPの更新が遅い、といったツッコミはなし。)
ひとつには、仕事柄、なんの苦もなくキーボードを打てるということにその原因があるかもしれない。思考の流れを中断させることなく、文章にできる。はっきり言ってペンで字を書くよりずっと早い。
思考の流れを中断せずに書く文章が果たして良い文章かどうかという根本的な問題はさておく。少なくとも僕は、それまでもたいした文章を書いてきたわけではないので、この程度で充分である。
ワープロ否定派の中には、この点にこだわる人も多い。 確かにワープロ機能を使うことによって、漢字の使用比率を始め、文章そのものが変革してしまう、といったことはあるだろう。しかしながら、それがマイナス要因ばかりになるとは云えないのではないか。プラスになることの方が多いとさえ、僕は思う。
初心者で、メーリングリストや会議室にたどたどしい文章を送ってきていた人が、ぐんぐん表現力を身につけ、数ヵ月後には見違えるような文章になっているのをみかける、といったことも少なくない。
数ヶ月で突然文章がうまくなるわけはないのであって、これはキーボードに慣れたという要因が大きいように思う。
ワープロの操作や、キーを打つ手にわずらわされなくなって改めてその人の文章の味が開花するわけである。
というわけで、タッチタイプ(ブラインドタッチ)の習得は大事である。キーボードを打つのが億劫という人はもとより、わしゃあ一本指で充分早く打てるわい、と思っておられる御仁もだまされたと思って、習得してみて欲しい。
僕自身も後者であったのだが、習得してみて随分解放感があった。
そこらへんに売っている練習用ソフトを買ってきて(フリー&シェアソフトでも一杯ある)、日に30分ずつ一週間ほどやれば、基本は身につくはずなので、あとはこなす量の問題だけである。
まだまだ文章を書くという行為が幅を効かせそうな情勢である。騙されたと思って基本だけでも身につけることをおすすめする。