映画・DVDなどのコト 一覧

約三十の嘘 特別版
『NANA』がヒット中の大谷健太郎監督の昨年末公開の作品。
昔チームを組んでいて、とある失敗からしばらくバラバラになっていたけども、再集結してまた一仕事企てる詐欺師達のストーリー。
舞台は寝台特急の中。映画の大半が列車の中というシチュエーション。主要登場人物も6人に絞られる。
場面転換は少なく、セリフだけで物語が進行していく。
役者達の演技もそのせいかどちらかといえば演劇的で、これが楽しめないとこの映画全体がツライかも知れない。
僕はなかなか楽しんで見ることが出来た。
演劇的なのは道理で、元は戯曲であるようだ。
コン・ゲーム的要素もほとんどなく、ひねりのある脚本でもないのだが、小気味いいテンポで飽きることはなかった。
役者陣がすべて役にハマっている。特に八嶋智人。軽薄でお調子者でありつつなかなかのキレ者という役だが、この役をするために彼が存在するのではないか、といった感すら覚えた。ま、ウマイのだろうけど。

音楽はクレイジーケンバンド。
タイトルチューンは「あぶく」だが、そこかしこで全編CKBの音楽が流れる。これたまりません。
既存曲や既存曲を基にしたBGMが大半ではあるものの、こうして映像をバックに流れると新鮮な感じ。
サントラ出して欲しいんだけど無理なのかしら。

『センセイの鞄』 - 監督:久世光彦(2003)

センセイの鞄
劇場公開はされていないのかな。WOWOWで放映された後、フジ系の地上波でも放映されたドラマ。
地上波で放映されたとき、偶然、ほとんどラストシーンをちらと見かけ、気になってその後、川上弘美の原作を読んでたちまち気に入った。
今回、最初からちゃんと見てみると、かなりその原作に忠実な造りということがわかる。
久世演出作の常連が次々と登場し、いつもの向田邦子の世界をも想起させるが、ちゃんと原作のテイストも生かされており、それはとりも直さず、ウエットなようでいて乾いたユーモア感覚が共通することにも由縁するのであろう。

しかしやはりこの作は僕にとっては、小泉今日子の映画であった。
ここには「ツキコを演じる」小泉今日子がいる。
カノジョが登場するひとつひとつのシーンから、『小泉今日子そのもの』を感じざるを得ないのだ。
それは、ツキコという役になりきれていないということを意味するのではなく、ツキコという主人公のイメージをしっかりまとった小泉今日子がいるだけなのだ。
ここで僕は自分が20年も前に書いた青臭い文章を思い浮かべずにはいられない。

『小泉今日子は、与えられたイメージを次々と身につけながら常に小泉今日子であり続ける。』

ここのところ特に、ずっとカノジョを追いかけてきたわけではないのだが、やはり真理は不変だな、と元アイドリストとしては感心した一夜であった。

赤目四十八瀧心中未遂
DVD見るなんて随分久しぶり。それも映画なんて。
小説を読んだ時から、あの原作がどんな風に映像化されているのか気になってしょうがなかったので、思い切って借りてみた。
思い切って、というのは、今の生活形態の中でゆっくり映画を見るような時間がなかなか取れないからだ。しかもこれ2時間半以上あるし。
結局11時半過ぎから見始め、終わったのが午前2時過ぎ。
見る前は半分でやめて明日に回そうと思っていたのだが、結局最後まで見てしまった。

原作にほぼ忠実な内容。それなのに話の展開が読めない、どこへ連れて行かれるかわからない感じは映画にも引き継がれている。
ハラハラして目が離せないというのとは違うのだけども。
生島と綾が赤目に向かう部分からが特にじっくり書き出されている。原作では後ろの1/4ぐらいの部分である。
もちろんタイトルの由縁にもなってるし、クライマックスでもあるわけだから、わからなくもないのだが、展開的にはここで少し冗長になる。ただ映像は美しい。
個人的には、前半部分にもっとじっくり描いて欲しいエピソードは多かったのだが。特に晋平ちゃんとの絡みはかなりあっさりになってしまっている。
どう表現されているか楽しみにしていた「おつたいがなァ」の念仏の部分が変えられてしまっているのは何故だろうか、残念。
といってもバッサリ切られてしまっていると感じる部分は少なく、ホントにかなり忠実に映画化されている。

全体としてセリフはごく少ない。中途半端な設定(辞書のくだりやマネキン)とかもなくはないけども、その中でひとつの世界観がしっかり表現されていることに感服。
スクリーンで見たかった映画だ。

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