
TV本放送時は裏の『猿の軍団』を見ていたからスルーしていたが、その映画版に幕を開けた空前のアニメブーム直撃世代であり、再放送、映画版、その続編達とつかず離れずの距離で接してきた『宇宙戦艦ヤマト』。
思い入れがあるとかないとか、そういう感じではもう語れないですな。
実のところ、個人的にはそんなにこのシリーズ自体に熱狂したわけではない。しかし多感な時期にこのシリーズ展開を見せられ、これをとりまく状況に見る側として翻弄された経験を持つ以上、実写版映画が始動すると聞けば、耳のひとつやふたつがピクンと動くぐらいのことにはなる。
でも、期待とかは一切しておらず、どんなことになるのか、という興味のみはあった。
だから、情報は事前にそんなに入れなかったけども(特番とかは一切見ず)、それでいてノベライズには立ち読みでざっと目を通し、ガミラスとかイスカンダルの処理だけは確認していて、そんなところにこの映画化に対する自分のチグハグな感情が見てとれたりもするなあ、と。
こうしたものはお祭り騒ぎのうちにそそくさと観てしまった方がよい、という内なる声に導かれるまま、公開初日に劇場へ向かった。
どんな映画でもそうには違いないけど、観る側のスタンスや心構えで大きく楽しみ方が違ってくる映画かも。
僕の場合は、「ヤマト」に求めるものがそれほど多くないし、「SF映画」という括りそのものにもそれほどこだわりがないので、観た感想をさらっといえば、そんなに悪くなかった、ということになる。
面白かったか、と問われるとなかなか難しい。
2時間18分、長くは感じなかったけど、後半やや意識の飛んだところもある。
結末は勿論好きではないけど、そんなに腹も立つわけでは無い。
だってアレとかコレとかでもう免疫できてるし、ある意味お約束だし。なによりも『ヤマト』だし。
ただもっともっとスッキリまとめてくれればねえ。見せ場のつもりかしらんが、無駄なカットが多い。
その点、ポンとジ・エンドにしてクレジットタイトルに持ち込んだのはよし。
突っ込みどころはいろいろあるにはある。
描き方で一番違和感があったのは、古代とユキの関係の部分。ニヤケざるを得ない展開になるシーンを含め、どこまで確信犯で制作側がこれをやっているのかは気になる。
あとはやっぱり佐渡先生の扱いで、一瞬アリかなあ、とは思ったけども、やはり高島礼子に三毛猫抱きながら一升瓶抱えられてもなあ、というのはあって、それはやらせなくても良かったんじゃないか、と。
他に役者では柳葉の真田はイメージ通り、ていうか演技が元来マンガ的な人はこの手の作品に向くなあ、と。
その意味ではあまりリアルに演じられても、という所もあるんだけど、山崎努は貫禄でそんな地点を吹き飛ばしておりさすが。
キムタクは、まあ、キムタクにしかみえないよね。誰もが感じると思うけど。
古代進である以前にキムタク。ひょっとしたらキムタクである以前にキムタクかもしれないw。
だからどうしても彼の登場部分は、昔で云うならかくし芸大会のドラマとか、あるいはスマスマでのドラマパロディとかの感じがチラついてしまう。
でもそれがダメだと今更云うつもりもないのだけどね。スター性の一部でもあるわけだし。
黒木メイサに関しては、多くの方が表明しているように、思ったよりアリだった、という感じ。
僕が割と印象に残っているのは、意外と船上から地球の家族と交信するシーンだったりする。ベタなシーンだし、かえって嫌いなシーンだと思っている人も多いだろうけど、悪くないと思う。
悪いところはもちろん多々あって、壊滅的なダメージを受けている地球の描写とか、広大な宇宙のスケール感とか、ヤマトの巨大さを実感させるような描写に関しては、まったく成功していないばかりか、あまり気を遣ってさえいないように思えるのは、観る人によっては致命的かもしれない。
感想があちこちにあがってきているけど、褒める人もいれば貶している人もいる。
でも貶している人もいつも以上に饒舌になってるような気がするのは気のせいだろうか。
総じて今回の映画は、出来がどうこうというよりも、これだけいろいろツッコめたり唸ったりしみじみしたりできるわけで、乱暴な言い方をすれば「楽しめる」イベントだと思う。お祭り騒ぎが好きな方は早いうちに是非。
で、これまでの「ヤマト」をまったく知らない人が観た感想も是非聞いてみたいものだ。