本のコト 一覧

『車輪の下』ヘッセ

車輪の下

新潮文庫の100冊のアロハブックカバーが欲しかったので買っておいた本のうちの一冊。
もちろん未読で、学生時代はあらすじを読んでまったく興味がわかず、退屈な話に違いないからできれば読まずに済ませたいとまで考えていた作品なのだが、こうしたモノも近年は読んでみようという気持ちになっている。
で、読んでみて、んー、昔の自分の直感は正しかったというべきか。
少なくとも僕にとってはあまり必要のない小説。
ひとつ思ったのは、これ、ラストって「車輪」に押しつぶされた結末なのかね。
それまでの流れとはちょっと違ったオチのつき方で意外だったんだけど。
いや、結末自体は予測通りというか知って読んでたのだけど、そこに至る流れがね。
まあ、いいけど。
訳文のリズムも悪くて、とにかく退屈でした。

ゴーレム100 (未来の文学)

予習のつもりで読んだ『コンピュータ・コネクション』でメゲてしまっていたので、すっかり読む意欲を失っていたのだが、図書館でうっかり見つけてしまったので、こりゃあやっぱ手に取らざるを得ない。
結果、読んでよかった。

まごうことなきヘンな小説ではあるが、読むのを恐れる必要はなかった。
まあ、とりあえず一通りは笑って読めばいいのではないか。

とはいえ、素晴らしい訳文のせいか非常にリズム良く読み進めることができるにもかかわらず、いろんなノイズが邪魔をして読みにくいという矛盾した一面も持つ。
そのノイズはこの小説自体からのものというよりかは、読んでるこちらの頭の中から湧いてくるものといったほうが適当だろう。

何かを語ろうと思っても言葉を奪われた感じでうまく言い表せない。
そういった意味でも、ある意味モリモリ元気が出てくる小説である一方、気分が萎え気味になったりもして、読書中の感覚としてはわけわかんない。

ま、いろんなものを連想したりもするわけで、僕としては、トボけたいけしゃあしゃあとした感じとか中原昌也なんか思い浮かべたり、図版のところで『猿飛佐助』の杉浦茂を思い出したり。
また、ちょうどプリンスのアルバムをいろいろかけながら読んでいたのだが、猥雑で雑多な感じがなかなかマッチしていていい感じ。

んー、結局なんだかわからない感想であるわけだけど、これでも手元においてたまに読み返したいと思わせる程には気に入ったのだけどね。

『浮雲』林芙美子

浮雲 (新潮文庫)

なんというか、不思議な小説だなあ。
ストーリーに救いはほとんどないのだが、陰鬱一辺倒かというとそうでもなく、なんか諦めというよりもある種の無感動というか、呑気といってもいいような空気すら漂う。
淡々としてるといえばいいのか、なんというか。
シビアといえばものすごくシビア。
月並みな言い方を借りれば、「愛」というものの現実的な一面を描ききってるとも云えるのか。
そもそもここに「愛」があるのかさえ、わからない。

成瀬巳喜男監督による名画の原作だが、映画は未見。
一度どんな感じなのか見てみよう。

『タタド』小池昌代

タタド
今年度、第33回川端康成文学賞受賞作ということらしい。
三編収録。
表題作と次の「波を待って」ともに静謐感漂いじわりと読ませるが、終盤に来て物語ががさごそっと動く。
あらそんな話になるの、という唐突感がちょっと残る。
文章は読みやすい。
女性の生理を描くような部分があっても、何故かそれほど生々しさを感じずにすらっと読める。特有の乾いた感じがある。
最後の「45文字」は、ちょっと設定に無理がありすぎるようであまり頂けないなあ。

黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)

ポーともなると、さすがに代表作の数々はは昔々のその昔ぐらいに読んでいる。
この表題作ももちろん。
それほど感心した覚えがないにも関わらず、イメージが結構強烈に残っており、今回の再読で自分にしては割に細部まで記憶していることに驚いた。
古典たる所以かのう。
この集の中では、未読だった「ウィリアム・ウィルソン」が一番おもしろかった。
これまた典型のような話なのだが、鮮烈な印象を残す。

武器よさらば 上 (1) (光文社古典新訳文庫 Aヘ 1-1)武器よさらば 下 (3) (光文社古典新訳文庫 Aヘ 1-2)

ピ、ピンときません。
訳のせいか、もともとの文体のせいか、えらくスラスラと読み進めてしまったのだが、この話の良さを感じ取ることができなかったなあ。
どこにポイントを置いて読めばいいのか、最後までわからなかったって感じ。
唐突に思うラストの展開も意図されたことなんだろうかね。
自分の中ではうまく繋がらない作品でした。未熟者です。

『走れメロス』太宰治

走れメロス (新潮文庫)
いや驚いた。メロス初読だもの。
え、教科書に載ってなかったかって? 記憶にないなあ。
で、これがそれほど持ち上げられるというのはちょっとしっくり来ない。
これまで読んだ太宰とは概ね相性が良かったのだけども、この文庫の前半は何か才気走った技巧のようなものが鼻についてあまり楽しめなかった。
「東京八景」とその後の津軽もの2編は、イイネ。

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)ABC殺人事件 (クリスティー文庫)
クリスティーを読むなんてのは、おそらく四半世紀ぶりぐらいだろう。
とはいうものの、当時にしてもそれほど数を読んだわけではない。
ちょうど映画化された『ナイルに死す』をはじめポワロものを数冊、『そして誰もいなくなった』、それにどういうわけか『自伝』を読んでいる。
マープルものは未読。
他にも膨大な著作の大半が未読といってよいが、ミステリベスト企画の常連であり、古典的な名作と呼ばれる今回読んだこの2冊および『アクロイド殺し』もそのうちに入る。
ご他聞に漏れず、ミステリを読み始めたごく初期の段階において、各種入門書や評論等でネタをわられていたため、なかなか読む気になれなかったからだ。
いつかは、とは思っていたのだが、なかなか改めて読もうというタイミングは来ないもので、先日図書館にて入荷したばかりの真新しいクリスティー文庫を新着図書の棚に見つけたのでこりゃ良い機会と借りてきて続けて読んだ。
正直に言ってやはり評価しづらい。
『オリエント急行』は雰囲気を楽しんで読んだが、非常に遊びのない求心的な話ですなあ。筋がストレートというか。結末にまっすぐ進んでいくという感じ。
クリスティーってこんな感じだったかなあ。
『ABC殺人事件』に関しては、ジュブナイルで読んだ筈なんだけど、まったく筋運びに記憶がない。とはいえ、真相というか枠組みはやはり古典であるが故にわかっちゃっているので、ああやはりそうだよなあ、と思いつつ読み進む感じ。
もちろん良作だとは思うし、その古典的価値を否定するものではない。
それどころかやはり実際読むことによって、その古典的価値というものも実感できるのだなあということは改めて感じた。
しかし僕が今読むということに関しては、確認作業でしかなかったかなあ。
『アクロイド殺し』読んでもたぶんそうなんだろうなあ。

『ラーメンの真髄』石神秀幸

ラーメンの真髄 (ベスト新書 154)

この本と前エントリーの本を同時に本屋のレジに差し出して、いささか恥ずかしい思いをしたのはこのワタシです。

それはさておき、「神の舌を持つ男」、ラーメン界の“神”、石神秀幸初の文字だけのラーメン本である。
まったくの先入観から僕はどちらかというと石神嫌いといってよく、ネットでの活動がないということもあってか、ほとんどその実体を知らずに来ていた。
つい最近になっていわゆる「石神本」を何冊か見ることになって、やはりちょっと違うな、と認識を新たにしたところだ。
それでもこの本もあまり期待せずに読み始めたのだが、いやこれがこれが。
これまでにも何冊もこの手の本は読んできたが、一番コンパクトにラーメンにおけるあれこれがまとまっており、なおかつアップトゥデイトな話題にも溢れている良書であった。
断片的な知識の整理にもなるし、まったく知らない話題もちらほらあったりして勉強になった。
そしてちゃんと主張も盛り込まれている。
対中華そば至上主義者、対無化調信者等々。後者に至っては過去の自らの言動も潔く反省している。
ネット嫌いもなかなか徹底しており、まあそれはそれで(笑。

うん、オススメですね。一般の方も是非。

いつまでもデブと思うなよ (新潮新書 227)
いや、なかなか凄いタイトルだが、岡田斗司夫のことを知っていれば「らしい」タイトルともいえる。
まさにそのタイトル通りで、あの“オタキング”が知らない間に50キロも痩せていたのである。
117キロから67キロへ。
帯の全身写真を見るとさすがにびっくりする。
で、その方法論を書いたのがこの書というわけだ。
よくあるダイエット本でもあるわけだが、どちらかというと痩せる技術よりも考え方を示した本ともいえる。
この僕も数年前に3ヶ月で15キロほどのダイエットに成功し、さらに今も緩やかにダイエットをおこなっているわけだが、考え方自体は概ね重なる部分も多い。
一番の主張は、ダイエットを楽しむ、ということ。
そう思いこむためにいろんな理屈をこねているともいえる。
技術としては「レコーディング・ダイエット」を実践したとのことで、それがいかにその考え方にかなった理想的な方法であるかが説かれている。
これはつまり食べたものをすべてメモしていくという方法で、書き留めるという行為そのもの、そしてその内容をまず認識することから自分の食生活に対する意識を変えていくという方法論である。
これは有効な方法であると頭では納得するが、ただでさえメモをとるのが苦手な僕のようなものには、ただそれだけと言われてもひとくちに簡単とはいえない方法でもある。
しかも当初はただ品目を記していくだけとはいうものの、中盤からはそのカロリーも書き加え、そこからは結局カロリー計算ダイエットということになっている。
現代はコンビニやファミレスなどでもカロリー表示が盛んなので、昔に比べそうしたカロリー計算がしやすくなっているというのだが、まあ確かにそうにせよ、わしはコンビニメニューもあまり食べぬしファミレスも行かないからねえ。家飯中心のこういう人にとってはやっぱカロリー計算するとなると大変だよなあ。
まあ読み物としては、さすがの手練れで面白い。
ダイエットするつもりのある人はもちろん、その気はなくても物見遊山的にもつらつらっと読める。

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