エレキングブログ前夜
名古屋エレキング倶楽部 ブログ以前の読み物 1997〜2005(再構築版)
1999年10月8日(金)ELEKING'S CHOICE / BOOK

ランズデール『凍てついた七月』は一級のサスペンス

 昨年、『ムーチョ・モージョ』を誉めたジョー・R・ランズデールの『凍てついた七月』が、同じ角川文庫から鎌田三平訳で出た。
 早速買って読んだのだが、これが傑作。

 今回は「ハップ&レナードもの」ではなく、それ以前に出版された単独作品。出だしは割りとありふれたスリラーものかと思わせて、ストーリーは二転三転する。
 妻と長男のごくありふれた家庭を持つ主人公の家に、深夜、強盗が忍び込む。 鉢合わせた主人公は発砲してきた強盗を射殺してしまう。人殺しの罪の意識にさいなまれる主人公を警察は正当防衛と認定し、早く日常生活に戻るよう勧める。そこに強盗の父親が刑期を終えて出所してきた。息子が殺されたことを知った父親は、主人公の息子をつけ狙う。主人公は警察に警護を依頼するが、そのガードを突破して強盗の父親が主人公の家に侵入した。

 これが冒頭のストーリーであるが、この後思いも寄らぬ方向に話は進展する。登場人物の心情の移ろいの機微を見事に浮き彫りにし、洗練された文体で最後までサスペンスを持続させたまま、話は余韻を残すラストに突入する。

 いやあ、シビレますね。近来稀な少ないページ数(250ページそこそこ)ながら、緊密な内容。
 決めた。ランズデール様に一生ついていくぞ。ガンガン翻訳を出してくれい。