ここ最近読んだ本

たまには読んだ本の中からピックアップして感想でも。

阿修羅ガール
『阿修羅ガール』舞城王太郎/新潮文庫
舞城は読まず嫌いでずっと放ってあったのだが、昨年ようやく『煙か土か食い物』を読んで、こりゃやっぱ読まねばと『暗闇の中で子供』を続けて読んだが、こちらはイマイチ。後が続かずそのままになっていたのだが、初のジャンル外(?)作品が文庫になったので読んでみた。
ところどころはすごく良かったりするんだけど、全編通じるとちょっとツライ。高速で野蛮な文体にあぐんでしまうところがあって、リズムに乗れそうで乗れないというか。町田康なんかだとそのまま身を委ねてしまえるんだけど、舞城の場合はこちらに身構えてしまう部分があって、イヤあんたの自由にはならないワという感じになってしまう。ま、相性の問題でしょうが。

失踪日記
『失踪日記』吾妻ひでお/イーストプレス
出たのは大分前に知っていたが、ボヤボヤしてる間にベストセラーになってしまいつつあるようだ。慌てて買って読む。
『不条理日記』を読んだのは、SFに目覚め、しばらくしてハマリかけ始めた中学時代。ご多分に漏れずかなりの衝撃を受け、何度読み返したことやら。
この『失踪日記』、実体験とのことだが、テイストはあの懐かしい『不条理日記』にやはり通じている。リアル不条理というかなんつーか。
凄絶なドキュメントであり、静謐感溢るるファンタジー。

「芸能と差別」の深層―三国連太郎・沖浦和光対談
『「芸能と差別」の深層』三國連太郎・沖浦和光/ちくま文庫
仏教史や民衆史にも造詣が深いベテラン俳優と民俗学者が芸能の起源周辺を中心に語り合った対談集。
同好の士としてお互いをある程度知り尽くしているようで、対談そのものは予定調和的に推移するので今ひとつ盛り上がりにかけるが、語られている内容は非常に興味深かった。
4分の1ぐらいは三國連太郎の半生記とともに語られるので、そこら辺要注意。僕には面白かったが。

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