SFを最近ほとんど読んでいないので青背を買うのは、テッド・チャン『あなたの人生の物語』以来だな。
そういう意味では、久々にこれは読んでおかにゃならんなと思わせた作品。
イーガンは最初に出た『宇宙消失』を読んだきり。あまりしっくりこなかった記憶があるのだが、先ほど読書メモを探ってみたらまずまずの評価を下していて、自分でちょっと意外。
その後、評判の良かった短編集も一切読まずにいきなり理系度が増していると云われるこの作品に挑んだが、おそらく歯が立たないんじゃないかというアタリは事前につけていた。
いやあ、もう歯がボロボロ。
のっけからいきなりイメージがつかめずに手探り状態でジリジリと読み進む。わからないところはドンドン飛ばせというありがたいアドバイスも頂いているのだが、読み飛ばせない性分というのはこういうときに困ったもんだ。
100ページを過ぎ、第2部に入るあたりでいきなりわかりやすくなる。
ホッとしてもう大丈夫かと読み進めていると、第3部に入りまたわからなくなる。
こうなってくると字面を追うのがやっとで、イメージを掴むどころの話ではない。
ただ、凄いヴィジョンが呈示されてるのだろうなあとおぼろげながらに感じながら、己の理解度の低さ、理系イメージ能力ゼロを怨むばかりである。
でも読んでよかったなあ、という気がしているのは何故だろうか。
多分SFでしか表現しえないカタチに触れる事が出来たからなんだろうなあ。