劇場公開はされていないのかな。WOWOWで放映された後、フジ系の地上波でも放映されたドラマ。
地上波で放映されたとき、偶然、ほとんどラストシーンをちらと見かけ、気になってその後、川上弘美の原作を読んでたちまち気に入った。
今回、最初からちゃんと見てみると、かなりその原作に忠実な造りということがわかる。
久世演出作の常連が次々と登場し、いつもの向田邦子の世界をも想起させるが、ちゃんと原作のテイストも生かされており、それはとりも直さず、ウエットなようでいて乾いたユーモア感覚が共通することにも由縁するのであろう。
しかしやはりこの作は僕にとっては、小泉今日子の映画であった。
ここには「ツキコを演じる」小泉今日子がいる。
カノジョが登場するひとつひとつのシーンから、『小泉今日子そのもの』を感じざるを得ないのだ。
それは、ツキコという役になりきれていないということを意味するのではなく、ツキコという主人公のイメージをしっかりまとった小泉今日子がいるだけなのだ。
ここで僕は自分が20年も前に書いた青臭い文章を思い浮かべずにはいられない。
『小泉今日子は、与えられたイメージを次々と身につけながら常に小泉今日子であり続ける。』
ここのところ特に、ずっとカノジョを追いかけてきたわけではないのだが、やはり真理は不変だな、と元アイドリストとしては感心した一夜であった。