M-1グランプリ2006、無事視聴し終わったので、恒例の感想をば。
次女に聞かれて立てた事前予想は、
1.チュートリアル、2.麒麟、3フットボールアワー
で、携帯サイトに投票しかけたのだが、こちらの機械不調でたぶん送れていないまま。
これは、単におそらく今一番勢いがあって面白いだろうという順をまっとうに並べただけで、伏兵とか場の勢いとかのことはほとんど考えずに咄嗟にあげたものだ。
おそらく順位はともかくこんなところを予想した人は多かったのではないか。この三組に笑い飯を加えて四強、という言い方が普通にされていたようだし。
最終的にこの三組が決勝に進んだわけで、まあ順当な結果だったと思う。
万年優勝候補の笑い飯に関しては、正直ここ数年の様子を見て過度に期待をかけるのはやめようと思っていたし、これも予測通りの結果となった。
では、ネタ毎に振り返ってみよう。
1.POISON GIRL BAND
独特のスタイルは嫌いではない。ただし大爆笑を生むという形にはなりにくいため、こうした所では不利だろうね。クスリ、ニヤリとする感じ。
しかもトップバッターという位置が、彼らの場合、場を少し温めるぐらいの前座的な感じになってしまうのも何とも損だったと思う。その客席の空気が演者にも伝わって、特有の雰囲気が少し減衰していたかも。
2.フットボールアワー
そういった意味では、番組的には真のトップバッターにも相応しい、勢いのある爆発的な笑いを産む実力を擁するコンビ。
この「戦隊ネタ」も決勝の「居酒屋ネタ」もそうだが、何度も見てるし、じっくり醸成された爆笑ネタではあるものの「完成された」というイメージではなく、その場のノリで自在に変幻を遂げるという印象は受けた。
その意味では、今日のバージョンが最高であるかどうかは微妙な感じ。
楽しんでる、という感じは、さすが王者の風格というべきか。
3.プラン9
実力があるのはわかっているけど、今回は「5人で漫才をやるとこうなります」的顔見せの意味合いの範囲で終わってしまったな、という感じ。
もっと、どんどん広がる筈という所で、多様性を見せるにはやはり時間が足りないのかな。
4.麒麟
このネタも見たことがあると思うのだけれど、その割に新鮮に見ることができた。
彼らは、途中よく、ネタの流れをある意味断ち切るようなハラハラする冒険を試みることがあるが、それが成功する時と失敗する時で落差が激しいかもしれない。このネタではガッツ石松のくだり。この時はギリ成功していた方。
5.トータル・テンボス
僕にとっては、もうひとつ面白味が伝わりきってこないコンビ。
技術はあると思うのだが、ぐいぐいとこちらの心に迫ってくるものに欠けるというか。今回はネタそのものも少し弱いような。
6.チュートリアル
僕にとっては今年の本命。どうくるかな、と思ったら、去年のバーベキューネタをほぼ踏襲する形で展開される冷蔵庫ネタ。これまた鉄板のネタ。
「ホームページ持ってるの?」が「ブログに書いていいか?」に変化するぐらい似ている。というか、もうこれはブラマヨ同様、彼らが辿り着いた独自のひとつの形ではあるね。
昨年の方が当然新鮮味はあったが、笑いの増幅度は上がっているし、文句のつけようはない。
7.変ホ長調
当然初見で、いったいどんなスタイルの漫才がアマチュアとして勝ち進んできたのか、興味津々であったが、なるほどねえ、という感じ。面白くなくはないが、この並びこの順番で出てこられても、何とも審査のしようがないという、紳助のぼやく気持ちはわからなくもない。
彼女らが決勝進出できて、ある意味審査員のプロ「仲間」でもある敗者復活待機組が出られないというのに複雑な気持ちになった者もいたであろう。
うがった見方をすれば、M-1も6回目となり、年々増加しているらしいエントリー総数の裏付けでありすなわちM-1グランプリ自体の冠の意味づけとしても、アマチュアが参加しているということの意義を有効化させるためには、ここらでアマチュアの決勝進出者が必要であったともいえる。
8.笑い飯
やはり第3回のあの時の笑い飯が突出していたのか、と思わせられるここ数回の出来である。
前半ゆったりとボケつつ世界に引き込んでおいて、後半マシンガンのように目まぐるしくWボケを叩き込んでくるというスタイルは変わらないわけで、「早く後半の展開にならないか」という趣旨の評があったが、仮にそうであっても後半の展開の満足度が高ければそんな不満は出ないのではないか、と思う。
後半のマシンガンボケのヒット率が足りない、と個人的には思うのだ。感覚的には五割どころか三割以下の打率のような気がする。空振りも目立つ。
この場合のヒットとは、まあまあ面白い笑える程度のものではなく、ズガンとねじり込んでくるような笑いをこちらとしては期待しているということをつけ加えておく。
9.ライセンス
今回は事前番組でしっかり予習していなかったのだが、ちらと見た感じでは、ここか、りあるきっず、もしくはまさかの連続で千鳥あたりが敗者復活してくるのかなあ、とぼんやりと思ってはいた。
這い上がってきた勢いも感じられ、それまでに充分温まっていた客席を味方につけて、お、結構いいじゃんと思わせたものの、この期に及んでドラえもんネタはないだろう、とも思ったのも正直なところ。
《最終決戦》
1.麒麟
面白いけど、決め手に欠けるといった感じ。その前のネタでもそうだったが、アドリブも臨機応変に取り込み確実に笑いに転化させていた実力は認めざるを得ない。
2.フットボールアワー
このところのフットの大定番ともいえる居酒屋ネタで、攻めたのか果たして守ったのか。
ただもうかなり崩しており、きっちりネタをやるというよりも、その場の勢いを楽しんでやりたい放題にやっているという印象なので見てて楽しいが、幾つか聞き取りにくいところもあった。
3.チュートリアル
パターンは同じだが、幾つか違う要素も取り込み、言葉の選び方や事象の切り取り方も新鮮に感じるので、これまた笑わないわけにはいかない。
ということで、事前予想とは2位・3位がひっくり返る結果になったが、概ね納得の順位。
ただ、準決勝以下のメンツで、そろそろ新しい風が吹いてくれないと、来年以降のM-1に不安がよぎる。
今年もフットがいるといないのラインナップを考えた時に、番組的な印象がずいぶんと違ってきたのではないか。
いわゆる層の厚みの問題。
せっかく定着してきた年一度のイベント。来年も楽しみたい。