ここのところ読んでいた本。
どうせネタもないし、今度からもう少しこまめに書こうかしら。
『死の棘』島尾敏雄
少し前から読みたいなあ、と思い続けていたのでやっと。
こんな生活や境遇はまったく身に覚えはない筈なのだが、それでもリアルにある種の既視感を伴って僕自身に迫ってくるのは、これが私小説であるからということだけでは説明できない。
もうそこは描かなくてもいいんじゃないかと思うぐらいしつこい程の描写が、重たくもあるがそれこそがこの作品の凄味。
『読書会』山田正紀・恩田陸
両作家とものあまりいい読者では無いはずなんだけど、なぜこの本を読んだかというと、図書館でたまたま手に取ったという理由。
気になる作家なんだけど、読んでみるといまひとつしっくり来ない。でもその膨大な著作群がやはり気になり続けているという、そんな二人なんです、僕にとって。
『痴人の愛』谷崎潤一郎
日本文学のお勉強シリーズ。
学生時代の講義に使われた時は題名からくる先入観からまったく読む気がしなかったことを思い出すが、いまやそんなことはない。
どろどろした話というその先入観はあっさりと裏切られ、軽妙でさえある流れるような筆致に身を委ねて読了。
『乱歩と名古屋』小松史生子
あ、これ別エントリー立てようと思っていたのだけど、まあいいや。思い直せばそんなに書くことがない。
『猟奇の果』を読んだときに馴染みある鶴舞公園近辺が出てきたのを記憶していたが、どうも乱歩作品で名古屋が出てくるのはここだけらしい。
名古屋に縁がある乱歩にして、これはいったいどういうことか、といったところから説き起こしているので、興味を持って読んでみたのだが、その興味を満たすほどの内容ではなかったかな。
『エンパイア・スター』サミュエル・R・ディレイニー
ベスター『ゴーレム100』の予習として『コンピューター・コネクション』を引っ張り出してきて読み始めたのだが、なぜか突然ディレイニーが読みたくなり、結果として先月読んだ『パルムの僧院』の復習とまだもすこし先のはずの『ダルグレン』の予習をしてしまったらしい。
というか、マイベストSFの20年ぶり以上の再読となったわけだが、いまひとつしっくり来なかった。初読のときは感激してしばらく放心状態だったような記憶もあるのだけどなあ。
潜在的に持っていたかもしれないマルチプレックスな見方まで失ってしまったということか。
エンパイア・スター (1980年)サンリオSF文庫
というわけで、『コンピューター・コネクション』と『罪と罰』はじりじりと読み続けています。
さらに読む予定の本が控えているというのに、今日も図書館で6冊借りてきちまった。