『陰日向に咲く』劇団ひとり & 映画版感想

陰日向に咲く
出てすぐに手にとって本屋でパラパラめくりつつ一部を読んだりして、うーんちゃんと読んでもいいかなと思いつつ、そのまま読む機会を失って早2年すか。
ベストセラーになって映画化されて、と、こうなってしまうとますます読みにくくなるへそまがり。
今回、めずらしくきまぐれで試写会に応募したら、当選ハガキが送られてきたため、そいじゃあということで慌てて読むことに。
オムニバスっていうか、短い幾つかの話から構成されていて、互いがほんのちょっとずつリンクしているところがミソ。
そのちょっとしたリンクが、ラストで活きるところが小憎い演出である。
なかなか達者だと思うが、それが劇団ひとりという一人の芸人が書いたものだと思うからである部分も大きく、何の前提もなく読んだら高評価をするにはいろいろ難癖をつけたくなる部分も多い。
が、さらっと読めて、いろいろ引っ張り過ぎない上品さもそこはかとなく感じられ、悪い印象は持たなかった。

で、映画の方。(ごく一部ネタばれとなります。)
原作そのまんまでは映画にしにくい筈なので、どう料理するのかが見所だったのだが。
ひとつひとつの話を原作どおり順番に見せるのではなく、バラバラに解体してギャンブラーの話を中心に再構成するやり方はとりあえず良しとしよう。
そのせいもあって前半はまずまずテンポ良く、細部はある意味原作通りといった形で進行する。
後半に入って、各エピソードのリンクを原作をいささか超えた域において繋ぎ始めたところから、映画はもたつき始める。
独自のテーマが混入され(「父と子の確執、和解」「雨のち晴れ」etc)、原作において品良くホロッとさせるシーンが引き延ばされ過剰に演出される。
2時間9分という上映時間がかなり長く感じられてしまうほどだ。
各エピソードのリンクを濃くしたことは、主演を立てた映画というものを作るに際し効果を生み出しえるひとつの方法であろうし、別に原作に忠実にやることが最上でないことも了解しているつもりだ。
また観る側としても原作にこだわる見方をする必要もないんだろうけど、原作の持つ軽く、しつこくない上品だった持ち味が結果的に失われてしまったのはちょっと残念に思う。
あと、みゃーこのエピソードだけリンクをいじっていなく、さらに原作上のひとつのエピソードを完全に削ってあることもあり、あのエピソードだけが完全に浮いていて息抜きみたいになってしまっており、ちょっと違和感が残る。

岡田准一はじめ俳優陣はなかなかがんばっているのではないでしょうか。
宮崎あおいはあまり見たことがなくって良さがイマイチわかってなかったが、笑顔はいいね。方言もよかった。
ただ塚本高史は、彼は悪くないと思うのだがどう考えてもミスキャストではないか。どっちかというとやはり伊藤淳史の方がこの役に向いてるでしょ。あくまでイメージだけども。

試写会なんて、ン十年振りに行ったなあ。
観客構成は8割方以上、女性だった。やっぱ岡田めあて?

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「陰日向に咲く」偶然のつながりがありえない

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