前回から間を空けて随分ためてしまった。
最近読んだ本から何冊かピックアップ。
『反哲学入門』木田元
哲学が苦手な元哲学科学生の私であるが、思い出したようにたまにひもとくのが木田元氏の著作である。
幾多の哲学者の中でも氏の文章だけは、何故かすっと僕の胸の内に入ってくる。
ひっかかるところなく文章が読めるのである。
相性が良いということなんだろうか。
この本は、反哲学をキーワードにした西洋哲学史。
談話形式のものを文章化し、かなり手を入れたとのことだが、そのせいもあってか、平易な入門的な哲学史となっている。
といっても、そんじょそこらの軽薄ネタ本と違って骨太の芯がズドンと通っているので読み応えは充分。
『ミノタウロス』佐藤亜紀
佐藤亜紀は初読。
かなり評価が高いので読んでみた。
大変密度の高い文章であり、作品性も高いとは思うのだが、予想通り、僕がしっくりくるタイプの小説ではなかったかな。
でも面白かった。
『本陣殺人事件』横溝正史
何を思ったか突然横溝。
横溝読むのなんて、おそらく四半世紀振り。
小学校高学年?中学の頃の僕のアイドルであり、たくさんの作品を読み漁ったのだが、代表的作品で幾つか読み残しているものがある。
『女王蜂』『三つ首塔』『悪魔の手毬唄』とこの『本陣殺人事件』である。
理由は明らかで、当時ドラマや映画で先に見てしまったから、である。
だから後回しにしているうちに、そのままになってしまった。
というわけで、この作品も初読ながら「懐かしい?」「あー、そうだった、そうだった」なんて思いながら読むことになった。
ただ金田一の事件の中ではそんなに好きな方じゃないかな。
『スペシャリストの帽子』ケリー・リンク
発売時からずっと気になっていたのだが、やっと読んだ。
いやあ、こんな歯ごたえのある作家だとは思わんかった。
凄くハマる話とまったくわからない話の境目がほんの紙一重。
たぶん何かほんのひとかけらのパーツを見落とすか何かなだけなんだと思う。
好きな作品は、「黒犬の背に水」「雪の女王と旅して」「ルイーズのゴースト」あたりかな。「少女探偵」もまったくわからないながらも割と好き。
『マジック・フォー・ビギナーズ』はいつ読めるかな。
『ゴーストバスターズ―冒険小説』高橋源一郎
読んでる間、なにかしらんがもどかしい気持ちにさせられた。
どう読めばいいか、最後までわからなかったからだろうか。
でも、そんなことは高橋源一郎を読むときはこれまでも多かれ少なかれついて回っていたのだが。
作中「ペンギン村に陽は落ちて」の章は、そんな気持ちとは無関係に傑作だとは思った。
『ペット・サウンズ』ジム・フジーリ
ハルキ訳でさらっと読める。
ビーチボーイズ『ペット・サウンズ』がしっくりくる人間とそうでない人間いるようで、僕は一応前者かな。
好きなアルバムの一枚といっていいと思う。
しかしこれまで数曲を除いて何かもやもやっとした印象があったのも確か。
この本を読んで、幾分か輪郭がはっきりしたような気もする。
それがこの本の内容のせいか、もう一度アルバムと向き合って何度か聴き直したせいかはわからないが。
あー、もうちょっとサボラずに書かなければ。ためると大変なのはわかってるのに。(第一最近、内容の大半、忘れてるよ...。)