大変遅ればせながら、日本SF昨年の収穫の2点を読んだ。
遅ればせながらというものの、そもそもこの十数年まともに日本SFの新作など追って来なかった身からすれば、素早い対応と自分を誉めてやりたいぐらいだが。
『虐殺器官』伊藤計劃
ひょっとしたら自分には合わないんじゃないかという勝手な先入観を抱きつつ読み始めたのだが、その予想は半分当たって半分ハズレといったところ。
芯はなかなか骨太だが、ストーリー展開はもうちょっとだけ血湧き肉躍りたいところ。
ただ視点は割と好みで、ラストまぢかに出てくる「つまり、仕事とは宗教なのだよ。」というこのセリフ一点において、この作家を信用したい。
『Self-Reference ENGINE』円城塔
代わってこちらには、ある程度楽しませてくれるだろうという思いの元に読み進めたが、あに図らんや、理系の想像力に結局こちらの思考がついていけなかった。
やってることは素晴らしいと思うんだが、まあ、相性の問題だな。
「オブ・ザ・ベースボール」を読んだ時と同様に、途中で退屈さを感じてしまうのだ。
そうはいっても、18編もあれば幾つか気に入った短編もあるのだけれど。
僕がダメだった話についても、好きな人はかなり好きと想像できるし。
SFマガジン4月号に載った実験的(?)な短編は、なかなか小技が効いていて、あの手のものとしては結構気にいったのだが。
このところ「おもしろさ」に対して不感症気味だなあという自覚もあるので、ちょっとさっぴいて読んでおいてくださいまし。