「このミス」はじめ年間ベスト類が出始めたので、その中から面白そうなものをピックアップしてポツポツ読み始めている。
このところそれらベストテンの常連となりつつある道尾秀介の名は確かに記憶にはあったが、自分の射程距離には入っていなかった。
今年の「このミス」のベストテンに2作品がエントリーされているので俄然興味を持った。
まずその一作『カラスの親指』から読んでみた。
コンゲームものということで、好きなジャンルということもあり、それなりに期待して読み始めたが、あっという間に引き込まれ、作者の手のひらの内にゴロゴロ転がされ、後味よく読み終えることができた。
テンポもいいし、会話も軽妙で文体もいい。
細かい所にも目配りが効いている。
直前に『流星の絆
』を読んでいたのだけど、リーダビリティは優れているし読んでまあ面白いとも思うのだが、なにかしらペラペラなイメージだなあってのが東野圭吾で必ず感じることなのだが、道尾にはその不満はない。
よく考えれば(考えなくとも)かなり無理がある話なのだが、世界が反転しつつキレイに収束していく様は非常に気持ちが良かった。
こりゃ他も読まんといかんねえ。