ちょっと久しぶりにイオン千種のリブレットに行ったら発見。
最近マンガはなかなかためらって買わないのだが、吾妻ひでおに関しては即買い。
といっても昔からロリ系そのものが苦手なので、「ミャアちゃん官能写真集」とかあの辺は実はあまり興味がなかったりする。「ななこSOS」とかもそんなに。
「やけ天」や「ふたりと5人」「スクラップ学園」ももちろん嫌いじゃないが、それよりも「不条理日記」「メチルメタフィジーク」でハマった口なので、秋田の吾妻より奇天の吾妻というか、あの路線が要するに好きなのだ。
で、この「地を這う魚」は、その路線が好きな自分にとっては久々の嬉しいプレゼントとなった。
ただ、絵面が不条理なだけで、筋そのものに不条理なところはほとんどない。
副題どおりの、漫画家を志した当時の青春日記となっている。
板井れんたろう(「グズラ」「ハゼドン」の原作でおなじみ。個人的には「ドタマジン太」が思い出深い。「冒険王」連載だったね。)のアシスタントだった時代の日常が、「失踪日記」シリーズの調子で淡々と描かれるのだが、吾妻自身とおんにゃのこ以外の登場人物はすべて動物とか魚とか異生物とかロボットで、それらがコマの中を所狭しと動き回っている。
時代的には60年代末であるハズだが、そんなわけで物価と食べ物以外ではその世相が浮かび上がっているというようなこともない。
それでいてどこかしらほろ苦く、ぼんやりと輝かしい青春の日々がほのかに立ち上がっているようなそんなマンガである。