この本の最初の版が出たのは、もう10年以上前の1994年、「SLAM DUNK」「ドラゴンボール」「幽遊白書」「忍空」の時代で、その頃にはとっくに「少年ジャンプ」を読まなくなっていた。しかしながら、雑誌創成期から600万部を越える発行部数を誇る時代に至るまでの裏側が事細かに書かれたこの本には興味を引かれ、読もう読もうと思っていながら文庫化を経てしばらく、今頃思い出したように読むことになった。
内容そのものは、実名をあげてのかなり辛辣な描写もありつつの暴露本的要素もチラ見えするものの、根本としては自らが育ち、また育て上げた日本一のマンガ雑誌への深い愛情に裏付けられた迫真的なドキュメントである。
僕自身の「ジャンプ」体験は、幼稚園時代の『ハレンチ学園』ショックはさておき、雑誌として接したのは71?72年頃、「荒野の少年イサム」「ど根性ガエル」「侍ジャイアンツ」「トイレット博士」の時代であろう。
主に行きつけの床屋の待合いでまとめて読んでいた。散髪に行くというより、ジャンプを読みに行くのが主眼だったように思う。
それでいて実は「ジャンプ」派ではなく、石森・手塚・赤塚を経てサンデー系のマンガが好みだった僕は、丸みを持った柔らかな線のマンガ至上主義者で、多くの「ジャンプ」マンガに特徴的な汚い線が苦手だった。
...あれ、ブックレビューのつもりでちょこっと書き始めたら、意外に書くことが出てきたなあ。
別の項に続く。