これで阿部和重を読むのはまだ4冊目。
近年の作品まで全然辿り着いていないのだが、この作品がいまんとこ一番好きかなあ。
『アメリカの夜』も好きなんだけど、多角的に読める分、こちらの方はまたいつか読んでみたいなあと思わせる。
映写技師のバイトをする主人公は、映写するフィルムがアクシデントで切れると、それを繋ぐ際、全然関係ないフィルムを数コマ挟み込む。
この行為は主人公の生きる、編集可能、改ざん可能な世界を象徴する。
いくつかの少しずつ違った世界が重層的にそして無茶苦茶に重なり合う。
そこに投影された少しずつ違った「わたし」もみんな「わたし」なのだ。
『インディヴィジュアル・プロジェクション』阿部和重
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