『笑いの現場 ひょうきん族前夜からM-1まで』ラサール石井

笑いの現場―ひょうきん族前夜からM-1まで (角川SSC新書 27)
『笑いの現場 ひょうきん族前夜からM-1まで』ラサール石井(角川SSC新書)

出ていたのは知っていたが、うっかり買い逃していた。
かなり以前、同じ著者の笑いに関する著書を2冊ほど読んで、お笑いに対する情熱と批評性を持った内容に感心していたので楽しみにしていたのだ。
買ってみてわかったのは、そのうちの一冊『笑うとは何事だ!―ラサール石井の平成のお笑い人』が、この本の底本となっていると明記してある。
10年以上前の本で絶版になっているだろうから、それもありかもしれんが。
大幅に加筆・修正、となっているのだが、おぼろげな記憶と比べてみると、分量的には削減の方向ではないだろうか。
とはいえ大幅な改訂であることは確かで、ここ10年程の状況について細かく加筆されているのだが、本人も審査員を務めるM-1に関する詳細なコメントがつけ加えられているのがハイライトかな。

総じて楽しく読めた。
前半がコント赤信号での活動を含めた自分史に重ねてあるため、現場に身を置いていた者としての自慢げな部分がちょっとだけ鼻につくかもしれないが、ま、それもある意味、氏のキャラクターとも云えよう。
何かまったく新しい見方が示されているということでもないのだが、各方面に対して温かい視線を向けつつきっちり批評しているのはさすが。

その分、単純なミス(思い違い)もいくつか目についた。
せっかく見つけたので二つほど指摘しておくと、まずP102の「『ひょうきん族』の後の土曜八時の時間帯に『ウッチャンナンチャンの誰かがやらねば』が始まり、のちに発展して『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば』に変わっていった。」とあるが、『誰かがやらねば』は『とんねるずのみなさんのおかげです』が半年間休止した間のピンチヒッター番組として登場したので、この時点では木曜九時の放映である。ここでの実績が土曜8時の『やるやら』に繋がったというのは事実である筈で、そのことはそのまま番組タイトルにも表れている。
次にp135のM-1の2003大会を論じた部分で、フットボールアワーを評して「後藤のボケは冴え渡り」とあるが、これは明らかに「岩尾」の間違いであろう。
校正の難しさに思い至ります。
とはいえこれは例外的で、他の大部分は比較的正確に書かれていると思われる。

さくっと読めるので、笑芸好きの方は読んでみては。

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