前半は好調だったが、後半はたった四本。
忙しくなったというのもあるが、とにかく眠気にやられた。
劇場鑑賞は2本。
監督名の横に記号をつけることにした。
個人的に観た後記している満足度(楽しめた度)である。あくまでその時の、ということで。
吸血鬼 ( 1932 )監督: カール・ドライヤー C+
茫洋としつつもクリアな夢幻空間。『雨月物語』にも通じる幻妖さを感じると共に、ところどころのカットがめっちゃ怖い。ドアの奥から降りてくる老人、何かに取り憑かれたような女性の表情、そして死神が持つような大きな鎌。物語は捉えにくいが無問題。
幕末太陽傳 ( 1957 )監督: 川島雄三 B
画面の隅々までコントロールされきった映画芸術。女郎屋のセットがとにかく素晴らしく、縦横無尽に走り回る左平次が活き活きしている。そしてなんというラストカット。あのキメ画は大スクリーンで確かに観たかったかもしれない。
しかし若き岡田眞澄はユージみたいだよなあ。
ドライヴ ( 2011 )監督: ニコラス・ウィンディング・レフン C++
評判良く期待して観たが、体調がイマイチだったこともあるかもだが、そんなにはノレなかった。80年代後期風サウンドを多用してドギツイ暴力シーンをイメージV的に魅せるノリを否定するわけではないがそれほど興味がないというか。でもそこかしこに気にいったシーンもあるのだが。
荒野の七人 ( 1960 )監督: ジョン・スタージェス C+
想像していたより圧倒的なユル・ブリンナーの主役感。菊千代の存在が若造役の勝四郎と吸収合併されてしまっているためトリックスターの不在が物語をいまひとつパッとしないものにしている。不抜けた恋愛沙汰で締めくくってる場合じゃないだろうと不満。アクションはまずまずだが。
サンセット大通り ( 1950 )監督: ビリー・ワイルダー B+
評判に違わぬ傑作。ザ・女優を今の目でみればカリカチュアライズしたかのように演じたグロリア・スワンソンの演技は彼女自身に則れば自然体だったのかもしれない。画面にピシリとはまる華やかさを醸し出している。シュトロハイムの重厚かつ存在感ある演技も見所。
男はつらいよ ( 1969 )監督: 山田洋次 C+
第一作をちゃんと観るのは初めてだろうな。既にしてフォーマットはほぼ完成。「けっこう毛だらけ」ほか有名なフレーズも出揃っており、寅さん世界を堪能できる。さくらの見合い相手が広川太一郎だったことに驚いたり、前田吟の若さに感心したりとあれこれ楽しめる。
しかし幼き頃は実は「寅さん映画」が嫌いであった。親に連れられて松竹の映画館に行ったりしたものだが、併映の55号やドリフの映画が目当てで寅さんになると途端に退屈してぐずったりしたものと思われる。ウェットな笑いが苦手だからと認識していたがこうしてみるとさほどウェットという訳でもない。
モテキ ( 2011 )監督: 大根仁 B++
無数の小ネタ満載のサブカルあるあるたっぷりに日常の細かな「リアル」感で物語の根幹にある「非リアル」を支えきっておりアッパレ。前半の軽快なテンポに比して終盤がややクドイかなあと思いつつも許容範囲。JGLトリビュートっぽいストリートダンスも決まってすっかり楽しめた。
惑星ソラリス ( 1972 )監督: アンドレイ・タルコフスキー C+
強烈な睡眠映画とのウワサに戦々恐々としていたが、意外と眠らず最後まで観ることができた。ひとつひとつのカットが長いし展開は超遅いが興味は持続するよ。自分にしては珍しく2度も読んだ原作が好きなせいかも。ハリー役も美しいし。ただし観終わったあと強烈な眠気がw。
プラネット・テラー in グラインドハウス ( 2007 )監督: ロバート・ロドリゲス C-
ロバ・ロドファンとしてはそれなりの期待を持って「とって置いた」作品なのだが、もうひとつといったところ。スプラッタ・ゾンビ・アクションという題材としては『フロム・ダスク....』に負けている。ギミックは面白いんだがもたついている。
秋刀魚の味 ( 1962 )監督: 小津安二郎 B
ザ・オトナの酒の飲み方を2時間たっぷり見せつけられる。そして礼節、たしなみ、人とのつきあい方。ドラマチックな展開なぞどこにもないのに終始退屈せず画面にクギづけになる。ドラマツルギーとはなんぞや、映画とはなんぞやと迫られるかのような佳品。
失われた週末 ( 1945 )監督: ビリー・ワイルダー B-
ビリー・ワイルダーの初期作品。アル中の作家の苦悩を描く。ハッとさせられる描写や作劇法に心を掴まれるが、後半ちょっとくどいかな。基本的に感情移入しづらい主人公の性格設定にも物語に飽きさせる要素があるかもしれない。ラストに至るほど残念な佳作。
ジョン・カーター ( 2012 )監督: アンドリュー・スタントン B+
冒頭、異世界風味バリバリの飛行船が飛び交うシーンでほぼ満足。白コングの迫力と白熱したチャンバラシーンにも目を見張った。脚色も悪くないとは思ったがもう一押し何か上乗せしてくれれば、と贅沢な思いも。それでもこれだけの映像を観せてくれれば文句はない。
「火星のプリンセス」の映画化、なんて昔のスターログとかの海外情報記事の隅っこにたまに本気度15%ぐらいの感じで良く載っていたような記憶が。それを思うだけでも感慨深いものが。ちなみに原作は幼き頃(といってもいいぐらい)、第一作のみ読んだハズ。
昼顔 ( 1967 )監督: ルイス・ブニュエル B
ストーリー自体は予測可能なある種オーソドックスな作りながら、ドヌーブ演じる主人公の夢想シーンがトーンを変えずに淡々と差し挟まれ、現実と地続きの非現実を静かに描き出し、やがて終盤それは現実を侵食していくのである。
ここでのカトリーヌ・ドヌーブは一見ちょっと小島慶子を彷彿とさせる。メイクのせいかな。異論は認める。
隠し砦の三悪人 ( 1958 )監督: 黒澤明 B
冒頭近くの超絶モブシーンに圧倒され、三船の刀振りかざしての馬術に魅了され、やっぱリアリズムって有無を言わさないものがあるなと実感。CGでは同様の感動は得られまい。今更ながらにSW ep4の祖型を追いつつ観たのも興味深かったが、もちろん単独で純粋に面白い。